「凍死寸前だった…」車中泊のプロが教える、冬の車内で絶対やってはいけない5つのこと

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yadocar 編集部

プロのライター / キャンプ歴10年

車中泊初心者から上級者まで役立つノウハウやスポット情報をお届けしています。法規やマナーなどは信頼できる情報源を確認し、安心して実践できるよう配慮しています。

目次

冬の車中泊が夏より危険な理由

多くの人は「寒ければ着込めばいい」と考えがちです。しかし、冬の車中泊には寒さ以外にも致命的なリスクが潜んでいます。

私が初めて真冬の車中泊に挑戦したのは、東北地方の道の駅でした。気温はマイナス8度。十分な装備を用意したつもりでしたが、翌朝体が思うように動かず、判断力も低下していました。後で調べて分かったのですが、軽度の低体温症状態だったのです。

冬の車中泊では、寒さによる直接的な体温低下だけでなく、一酸化炭素中毒、脱水症状、換気不足による酸欠など、複合的な危険が存在します。これらは互いに関連し合い、気づかないうちに命を脅かす事態に発展するのです。

絶対やってはいけないこと①:エンジンをかけたまま寝る

⚠️ 危険度:★★★★★(最高レベル)

これは冬の車中泊で最も危険な行為です。「暖房のためにエンジンをつけっぱなしにすれば暖かく過ごせる」と考える方がいますが、これは一酸化炭素中毒による死亡事故に直結します。

なぜこれほど危険なのか

雪が降る地域では、マフラー周辺に雪が積もることで排気ガスが車内に逆流する可能性があります。一酸化炭素は無色無臭のため、気づいた時には手遅れになることも。実際、毎年のように車中泊中のエンジンかけっぱなしによる事故が報告されています。

私も青森県での車中泊時、就寝前にエンジンをかけて暖房を使っていました。しかし、夜中に目が覚めると頭痛と吐き気がありました。慌ててエンジンを切り、窓を開けて換気したところ、徐々に症状が治まりました。後で車外を確認すると、マフラー付近に雪が吹き溜まっていたのです。あの時すぐに気づけなければ、と考えるとゾッとします。

正しい対策: ポータブル電源と電気毛布、または高品質な寝袋(耐寒温度-15度以上推奨)を使用しましょう。就寝中は絶対にエンジンを切ることが鉄則です。

絶対やってはいけないこと②:窓を完全に密閉する

⚠️ 危険度:★★★★☆

「寒いから」と窓を完全に閉め切ってしまうのも、実は非常に危険な行為です。

密閉空間のリスク

人間は呼吸により酸素を消費し、二酸化炭素を排出します。車内という限られた空間では、換気をしないと徐々に酸素濃度が低下し、二酸化炭素濃度が上昇します。これにより、頭痛、めまい、判断力の低下、最悪の場合は意識を失うこともあります。

長野県での車中泊時、私は寒さを避けるために窓を完全に閉め、さらに目張りまでしてしまいました。夜中に息苦しさで目を覚ましましたが、体がだるく、窓を開ける気力もないほどでした。なんとか窓を少し開けて外気を取り入れると、徐々に意識がはっきりしてきました。この経験から、換気の重要性を痛感しました。

正しい対策: 窓を1〜2cm程度開けておくこと。冷気が気になる場合は、換気口付近に直接風が当たらないよう、車内のレイアウトを工夫しましょう。また、結露防止にもなります。

絶対やってはいけないこと③:アルコールで体を温めようとする

⚠️ 危険度:★★★★☆

「寒い夜は一杯飲んで温まろう」というのは、冬の車中泊における大きな誤解です。

アルコールが招く低体温症

アルコールを摂取すると、一時的に体が温かく感じます。しかしこれは血管が拡張して体表面の血流が増えているだけで、実際には体温が下がっているのです。さらに、アルコールは判断力を鈍らせるため、低体温症の初期症状に気づきにくくなります。

秋田県での車中泊時、私は寒さに負けて夕食時に日本酒を飲んでしまいました。確かに最初は体が温まった感じがしました。しかし、就寝後の深夜に寒さで目が覚め、体が震えていました。体温計で測ると35.5度まで下がっていたのです。慌てて温かい飲み物を飲み、カイロを貼って対処しましたが、アルコールの危険性を身をもって学びました。

正しい対策: 就寝前の数時間はアルコールを控えましょう。体を温めたい場合は、温かいノンカフェインの飲み物(生姜湯、ハーブティーなど)を選びましょう。

絶対やってはいけないこと④:寝る前に水分補給をしない

⚠️ 危険度:★★★☆☆

「夜中にトイレに行きたくないから」と水分を控えるのは、実は危険な選択です。

冬こそ脱水症状に注意

冬は夏ほど喉の渇きを感じにくいため、知らず知らずのうちに脱水状態に陥りがちです。脱水は血液の粘度を高め、血流を悪化させます。これにより体温調節機能が低下し、低体温症のリスクが高まります。また、エコノミークラス症候群のリスクも増加します。

岩手県での車中泊で、私はトイレを気にして夕方以降ほとんど水分を取りませんでした。翌朝、激しい頭痛と体のだるさに襲われました。尿の色も濃く、明らかに脱水症状でした。それ以降、就寝前の適度な水分補給は欠かさないようにしています。

正しい対策: 就寝1時間前までにコップ1杯程度の水分を摂取しましょう。また、車内に水筒を置いておき、夜中に目が覚めた時にも飲めるようにしておくことをおすすめします。ポータブルトイレの準備も検討しましょう。

絶対やってはいけないこと⑤:濡れた衣類のまま寝る

⚠️ 危険度:★★★★☆

汗や雪で濡れた衣類をそのまま着て寝るのは、体温を急激に奪う原因となります。

濡れた衣類が命取りに

水分は空気の約25倍の速さで体温を奪います。日中の活動で汗をかいた下着や、雪遊びで濡れた服をそのまま着ていると、夜間に体温が急激に下がる危険があります。特に汗をかいた後は、体が冷える前に着替えることが重要です。

北海道での車中泊前日、スキー場で遊んだ後、着替えが面倒で汗ばんだインナーを着たまま夕食を済ませてしまいました。その夜、寒さで何度も目が覚め、朝方には悪寒と震えが止まりませんでした。すぐに乾いた服に着替え、寝袋に入り直しましたが、体が温まるまでに1時間以上かかりました。この経験から、着替えの重要性を学びました。

正しい対策: 就寝前には必ず乾いた衣類に着替えましょう。特にベースレイヤー(肌着)は速乾性・吸湿発散性の高い素材を選び、予備を必ず用意しておくことが重要です。

まとめ:冬の車中泊を安全に楽しむために

冬の車中泊は、適切な知識と準備があれば安全に楽しむことができます。しかし、今回紹介した5つの「やってはいけないこと」は、どれも命に関わる重大なリスクです。

私自身、これらの失敗を経験したからこそ、今では安全な車中泊を実践できています。特に重要なのは:

1. エンジンは必ず切って就寝する
2. 最低限の換気を確保する
3. アルコールに頼らない暖対策をする
4. 適度な水分補給を心がける
5. 濡れた衣類は即座に着替える

これらを守ることで、冬の車中泊の危険性は大幅に減らせます。ぜひ、この記事を参考に安全で快適な冬の車中泊を楽しんでください。

最後に: 車中泊を始める前には、必ず信頼できる情報源で学び、装備を整えましょう。特に初心者の方は、まずは秋や春など気候の穏やかな時期から始めることをおすすめします。冬の車中泊は、十分な経験を積んでから挑戦しましょう。

※この記事は筆者の実体験に基づいていますが、車中泊の安全性は天候、場所、個人の体調など様々な要因に左右されます。必ず自己責任のもと、万全の準備をして行ってください。

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